インドネシアの浄水危機

基本データ

人口２億５千570万人
安全な水の不足量 3300万人分
衛生設備のない水供給１億人
都市生活者でも浄水アクセス可能なのは僅か30％

インドネシアの浄水供給率は、国連によって設定された50％という基準を満たす事を求められています。

インドネシアの浄水問題

インドネシアの水は東南アジアで最も汚染された飲料水とされています。水汚染の大部分は鉱工業から出る工場排水・廃棄物・生活排水といった人為的な要因です。

水汚染の及ぼす影響

水汚染は年間 46億米ドルの損失をもたらします。
“損失”とは具体的には、医療費・浄水供給のためのコスト・生産性の喪失・観光イメージへの悪影響・高い幼児死亡率が挙げられます。
汚染された水や衛生環境の欠如を起因とした下痢による幼児の死亡率はマラリア・麻疹ウイルス・HIV-AIDSによる死亡率を上回っています。

排水処理の為の膜組織 – 水処理膜

水処理膜は主に汚染物質を大きさに基づいて分離する膜組織です。
水より大きい粒子・微生物・その他の汚染物質は膜によって分離された状態で水が膜を透過します。
水処理膜による浄水工程は加熱を必要としない為、使用エネルギー量が従来行われている熱分離法に比べてはるかに少ない

多孔化特性膜の膜組織

精密濾過膜

水 / 一価イオン / 多価イオン / ウィルス / バクテリア / 固形物

精密濾過膜の細孔径は0.01~10 µm
主に砂・沈泥・藻類及び細菌を除去する用途で使用される

限外濾過膜

水 / 一価イオン / 多価イオン / ウィルス / バクテリア / 固形物

限外濾過膜の細孔径は0.01 to 0.03 µm
主に砂・沈泥・藻類及び細菌を除去する用途で使用される

ナノ濾過膜

水 / 一価イオン / 多価イオン / ウィルス / バクテリア / 固形物

ナノ濾過膜は細孔径が 0.001 µm の小さい物又は1 nmを使用する
ナノ濾過膜は主に天然有機物、合成有機化学物質を水から除去する

逆浸透膜

水 / 一価イオン / 多価イオン / ウィルス / バクテリア / 固形物

逆浸透膜には細孔径が 0.0001 – 0.001 µmのナノ濾過膜を使用する
逆浸透膜は淡水化・脱塩を行う。

膜組織による水濾過の優位性

浄水分離に浄水膜を採用する利点 :

携帯可能な浄水装置にも適用できる
従来行われている熱分解プロセスに比べ消費エネルギーが格段に少ない。
作動に電力を必要とせず、安価で実現可能。
用途や必要性に応じた膜の細孔サイズを実現でき、特定の物質や混合物の選択的分離が可能になる。

Portable Water Filters

Water crisis in Indonesia

２億５千万人と世界で３番目に人口の多いインドネシアでは、水の過剰利用、産業及び一般廃棄物による汚染で非常に深刻な水危機に直面しています。特に首都ジャカルタやジョグジャカルタといった人口の多い都市では利用可能な地下水が不足しており、それによる水質の悪化が進んでいます。ほとんど全ての国内主要都市で地下水サンプルからサルモネラ菌等の細菌が高い数値で検出されており悪質な衛生環境も併せて問題になっています。

適切な廃水処理を行わずに工場廃水を垂れ流す工場も多く、工場廃水を起因とした有害な重金属が地下水や河川水から検出されています。利用可能な水は国全体の60％しか供給されておらず、40％の国民は適正とされない水を日常的に利用しています。

インドネシアが大小多くの島から成り立つ島嶼国である事も要因として挙げられます。ロンボク県にあるギリメノ島等、幾つかの小さな島では地下水に高濃度の塩分が含まれており真水を得る事ができない為、島民は片道２時間かかるロンボク本島から船で真水を運ばなければなりません。国全体で飲料可能な浄水へのアクセスを有する世帯が50％を下回っているのにはこのような地質環境も関係しています。

この様なインドネシアの抱える状況において膜細胞を用いた浄水は飲料水を得る大変有効な方法の一つになります。浄水膜はバクテリアや重金属の濾過が可能なナノ細孔を有しています。膜組織同士を必要に応じて調節する事で飲料水に適したレベルまでナトリウム量の軽減も可能です。

ロンボク本島の北西沖にあるギリ三島、ギリアイル、ギリメノ、ギリトラワンガンは世界的に人気の高いリゾート地です。真ん中にあるギリメノ島は地下水も塩水で真水を得られません。
(https://prawirosablenk.files.wordpress.com/2014/11/gili-trawangan-lombok.jpg)

ギリタワンガン島を臨むギリメノのビーチ