非感染症あるいは NCDとは?
慢性疾患としても知られている非感染症疾患(NCDs)は、人から人へは感染しません。NCDsは長期間かけてゆっくりと発症します。4つの主な非感染症疾患のタイプは、心血管疾患(心臓発作や脳梗塞・脳出血)、癌、慢性呼吸器疾患( 慢性閉塞性肺疾患や喘息といた疾患)と糖尿病です。
非感染症疾患は偏った形で影響を及ぼしており、慢性疾患による死亡者の3/4近く、2800万人は低・中所得国の人々となっています。
慢性呼吸器疾患は基本的に、肺に障害が生じている事を意味します。なので、肺をつけ変えるか、人工肺(呼吸模擬装置)を必要とするケースが発生するのです。
高血圧や糖尿病は腎機能障害の主因で、高機能膜を使用した人工腎臓が必要になってきます。
腎疾患
健康な腎臓:
- 体液濃度を管理する
- 血液から老廃物や毒素を濾過する
腎臓は30分毎に体内全ての血液を濾過し、水分(余分な体液)や老廃物を取り除いているのです。
- 年間に肝疾患で亡くなる人の数は、乳癌や前立腺癌より多いのです。
- アメリカの成人3人に一人が肝疾患発症のリスクを抱えています。
- アメリカの成人、2600万人は肝臓疾患を発症している。–そのほとんどが自覚していない。
- アメリカでは毎日13人が肝臓移植の待機期間中になくなっています。
- 日本では ¼の人が肝臓疾患を患っています。(2002年の統計)
- 後期の肝臓疾患の患者は30万人近くおり、多くの場合最大4年間(2004年)、時には20年に渡って人工透析を受けています。
- 日本の肝臓透析治療の費用は一人当たり毎月3000ドルでです。つまり、年間100億円が肝臓透析治療の為に使われている事になります。
慢性呼吸器疾患
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は正常な呼吸に支障を来す疾患で、生死に関わります。
- 2004年の調べでは、全世界で年間、推定6400万人が慢性閉塞性肺疾患にかかりました。
- 2005年には300万人以上が慢性閉塞性肺疾患によってなくなり、その数は全世界の死亡率の5%に当たりました。
- 慢性閉塞性肺疾患による死亡の約90%は低・中所得国で起こっている。
- 慢性閉塞性肺疾患の主要因はタバコの喫煙です。(喫煙、受動喫煙、調理による煙によるもの)
- 慢性閉塞性肺疾患は世界で5番目に多い死因です。世界中のどこかで一時間に250人以上が慢性閉塞性肺疾患により亡くなっていると推定されます。
さて、分離膜はこれらの健康障害において、何に・どのように役立つのでしょうか?
分離膜とは何でしょう?
非常に平たく言うと、
表面に孔(多くの穴)がある。
小さいものと大きいものに分ける。
飲料水から細菌を分離することができる。
血液中のガス交換の機能を果たします。
糖尿病患者の血液から尿素を分離する事ができます。
分離膜の基本概念
- たくさんの原料を片側から他側に移転したい場合は、単位面積当たり非常に沢山穴のある、非常に大きな面責の分離膜が必要となります。
- この非常に大きな面責の分離膜を小さな体積に入れなければならない事があります。それは、分離膜のシートを巻き上げて缶に詰める様な事です。小さな体積に分離膜のほぼ全域を詰める事も重要な事なのです。
生物学における分離膜
私たちの体の細胞は常に働いており、エネルギーや化学物質を受け取って活動しています。ですから、二酸化炭素のような廃化学物質も同時に作られます。奇妙な事に、私たちは発電所が大量の二酸化炭素を排出すると文句を言う一方で、(私たち)哺乳類もかなりの量の二酸化炭素や排気ガスを排出しているのです。(これは蛇足、“Fart story”になりますが)
分離膜は生物学において老廃物は取り除き、体にエネルギーを与える有用な化学物質は取り込めるようにする通路としての重要な役割を担っています。これは体内の全ての細胞において、細胞内において細胞以下の組織レベルで起こっています。体の中でも濾過を主要とした役割を果たす器官ではそれがもっと大きなスケールで起こっています。肺、腎臓、肝臓や肌がその典型です。
息を吸うと私たちは空気を吸い込んで、主に酸素と窒素を肺に取り入れ、酸素は「肺胞」と呼ばれる高効率な分離膜によって血流内に運ばれ、更にカラダ全体に輸送するために血液細胞内に取り込まれます。同時に、これらの血液細胞は 、生化学的プロセスで酸素を使った副産物、二酸化炭素を老廃物として放出するのです。
分離膜の豆知識
実は、肺の総面積がテニスコートと同じ位あるというのをご存知ですか?それが人間の胸部の小さなエリアに収まっているというのは驚きですよね。
通常の合成分離膜モジュールの体積比はそれに比べたらかなり低いのです。という事は、人口肺を携帯しようとした場合に、ものすごく大きな分離膜モジュールを持ち運ばなければならないということになります。
膜工学の科学者達は酸素(CO2)や二酸化炭素(O2)がより迅速に血液に透過する事を目指しています。そうすれば分離膜モジュールはよりコンパクトになるはずなのです。
実際、肝臓透析膜についても同じ様なことが言われており、もし分離膜モジュールを小さくできたら、ポータブル仕様の人工腎臓が可能になり、血液老廃物を処理する為に毎週病院に通わなくてもよくなるのではないかと言われています。