“エコ・スクールバスを走らせる”というグリーンスクール生徒のプロジェクトから始まったバイオバス。学校のプロジェクトが思いもよらぬ発展をとげ、社会的企業に。
バイオバスは、ホリスティック教育・グリーン教育の先端を行く学校として世界中から生徒が集まる、グリーンスクール・バリに通う、ティーンエイジの生徒達が運営する社会的企業です。
バイオバスは「学校にエコ・スクールバスを!」という、2015年の卒業記念プロジェクトから始まりました。バイオ・バスチームは、この最初のプロジェクトの際に廃食油からリサイクル資源、バイオディーゼルを製造する地元の法人、レンギス ヒジャウ / バリ グリーンディーゼル(以後レンギスヒジャウと表記)と出会います。
生徒達は、廃食油のリサイクル資源、バイオディーゼルで走るエコ・スクールバスの実現を目指し、多くを学び、レンギスヒジャウとパートナーシップを取ってプロジェクトを進めました。バイオ・バスチームはエコ・スクールバスの運行に必要なバイオディーゼルを作るために、地元の食堂や露店を周って廃食油の回集活動を始めます。プロジェクトの進行と共に更にアイディアが発展し、バイオディーゼルの精製段階で発生するグリセリンから天然成分の石鹸作りも始め、「バイオ・ソープ」として製品化までしました。
多くのサポートと努力の末、廃食油のリサイクル資源で走る、グリーンスクールのエコ・スクールバスの運行は、2015年6月に始まりました。しかし、この時点でプロジェクトは既に「2015年度の卒業プロジェクト」を超える飛躍を遂げており、グリーンスクールのエコ・スクールバスは生徒達が中心となって運営する社会的企業、バイオ・バスの「はじまり」となりました。
プロジェクトを最初からサポートし、生徒と活動を共にしてきたグリーンスクールの教師、カイル・キング氏は、「バイオ・バスのプロジェクトは、化学・数学・更にはコンピューターサイエンスまで、生徒にとって必要となるスキルが多くあります。生徒達はプロジェクトを進めていく中でそれらの教科をリアルな経験として学び、自分達のアイディアを実現する為にスキルアップを望んで能動的に学びます。最初のプロジェクトに取り組んでいる際に、これは素晴らしいシチュエーションだと思いました。」と語ります。
2015年以降、バイオ・バス プロジェクトは、ティーンエイジの生徒が取組むグリーンスクールのプログラムとして取り入れられ、バイオ・バスの発展と共に進歩していく革新的なカリキュラムとして生徒の学習の一端を担っています。
そして2015年11月、バイオ・バスは更に広い範囲でのエコ・バス運行を目指し、生徒が中心となって運営する社会的企業となりました。アイディアやそれを実現するスキルの発展は続き、バイオ・バスは現在、地域の人々の足となる3台の廃食油のリサイクル資源で走るエコ・バスを運行しています。
ホリスティック教育の環境教育と先進的な考えを持つエンジニアが共に作り出す‘エコ’の形
この最初のエコ・スクールバスプロジェクト、そして、レンギスヒジャウとの出会いを通して、バイオ・バスチームはインドネシアの廃食油の廃棄における深刻な問題を知ることになります。
インドネシアには廃食油に対する廃棄の適切なシステムや規制が設けられておらず、ホテルやレストランでは使用済みの廃食油は他のゴミと混ぜて捨てるか、もしくは河川に垂れ流されています。又、多くの場合、廃食油はその現状に便乗した仲介業者を通して、一見未使用油に見える形に変えられて、格安に小さな食堂や露店に卸されているのです。この状況は、収入の少ない層や市場から遠い農村地における健康被害の大きな要因と考えられています。
バイオ・バスチームは、廃食油の転売廃止を呼びかける「グリス・ポリス」という活動を始めます。この活動は、ホテルやレストランを周り、自分達が作ったバイオソープと交換に廃食油を集め、廃棄による環境問題、転売により再び食用として市場に出回っている廃食油によって起こっている健康被害問題を訴えるというものです。
以前からこの環境・人道問題に関わってきたレンギスヒジャウ・取締役のエンドラ・セティアワン氏は、「バイオ・バスチームは多くのことに取り組んできました。リサイクル資源・バイオディーゼルに対する生徒達の興味の高さ、環境問題やコミュニティーに対する精力的な活動を見てきて、彼らは時代に感銘を与える世代、これからの地球環境や社会の担い手として活躍していく人達なのだと強く感じます。」と語ります。